大学無償化が2020年4月からスタートすることが正式に決まりました。
支援の対象となるのは大学だけでなく、
短大・専門学校・高専ですが、大学を中心に話を進めていきます。
大学無償化っていいことだけでしょうか?
今回は大学無償化のメリットやデメリット・問題点、そして現在の大学が抱える問題点もお伝えします。
大学無償化のメリット
まず、大学無償化について詳しくわからない方は、こちらの記事をご覧ください↓
大学無償化のメリットは、高等教育機関は
学問をするために通うところだということが明確になること。
そして、世帯収入にかかわらず進学の夢がかなう点です。
現在の日本では、高校生の7割が普通科に在籍しています。
普通科を卒業しても、多くは進学します。
進学したいから、高等教育機関に進路を進める生徒もいます。
逆に、資格も免許もないからなりたい職業になるために必要だから、進学する生徒も多くいます。
大学無償化のメリットはこのように、
なりたい職業になるために進学する生徒を支えることができることです。
世帯収入が少ない家庭の生徒ほど、就職の必要に迫られます。
しかし、資格も免許もない高卒生に勤まる職場は多くありません。
企業は人手不足で困っています。
欲しいのは「即戦力」です。
今の日本企業に、「人材を育てる」余裕はありません。
国が「即戦力となる人材を育てる」部分を肩代わりして、企業活動を支えます。
企業の利益のためではありません。
即戦力の人材は、収入も多くなり、消費するようになります。
国家の経済を支えるのは、堅調な個人消費です。
人々の前向きな意欲が、ひいては日本という国をけん引します。
大学無償化のデメリット
大学無償化のデメリット:現在の授業料減免制度が適用されず救済されないこともある
実は現在でも、授業料の減免制度はあります。
各大学が支援の対象基準を設定しています。
ところが、今回の大学無償化は世帯収入がかかわってきます。
今回の大学無償化の制度を導入すると、
今まで授業料の減免措置を受けられていたのに、支援を受けられなくなる可能性もあります。
大学無償化のデメリット:地方の若者流出が加速する?
現在の年収で進学先を「通える範囲の大学等」で我慢してきた生徒が、
都市圏の大学等に進学が可能になります。
勉強したい大学・学部に進学できることは良い事ですが、
地方にとっては若者の流出が加速する懸念もあります。
大学無償化の問題点
大学無償化の問題点は多くあります。
大学無償化の問題点:大学浪人以上に高校浪人は悲惨!
問題点の一つが、浪人生に不利な点です。
大学浪人だけでなく、高校受験の時に浪人したり、
高校在学中に海外留学や何らかの事情で留年したりした生徒にとっては切実な問題です。
高校卒業から2年以内が20歳になる年度の末日(大学無償化の対象年齢)
と同じにはなりません。
時間を巻き戻すことはできません。
大学無償化の問題点:医学部など授業料が高額な学部はお金が足りない!
一般に、授業料は授業内容によって変わります。
文系の学部は金額も少ないのですが、医学部系は金額が1桁違います。
はっきり言って、これだけの金額をもらっても、教科書の足しにしかなりません。
また、授業料以外の出費もバカになりません。
授業料以外に施設設備費とか学校に収めるお金は多くあります。
授業中の事故に備えて入る学校保険も医学部系は保険料もそれなりの金額です。
教科書も高額です。
いくら大学が無償化されても、進学を希望する全員の夢を叶えられるわけではありません。
大学無償化の問題点:返済型の奨学金の行き詰まったままである
現在の奨学金は、破綻状態です。
返済型の奨学金は、完全に行き詰っています。
理由は返済が滞っているからです。
返済が滞っている理由は、収入が少ない、返済の意志がない、借り過ぎの3点です。
「困ったちゃん」は返済の意志がない人達ですが、問題は借り過ぎです。
収入が少ないから返せないは、実は借り過ぎの面もあります。
授業料のための資金だけでなく、生活費も奨学金から借りている学生も多くいます。
そして、その金額も「借りられるだけ、借りる」という発想が多くあります。
「借りなきゃソンソン」とばかりに借りています。
借りたその場は、楽に生活できますが、返済する時には利息をのせる必要があります。
返済型の奨学金は、学資ローンです。
返済の開始が、大学卒業と同時に始まるタイプの借金です。
出世払いではありません。
現在の大学の問題点:大学経営も楽じゃない
現在の大学の問題点:箱根駅伝は受検者数を増やすために負けられない!
お正月の箱根駅伝は、近年意味合いが変わっています。
箱根駅伝で上位に入った大学は、受験者数が増える傾向が顕著になっています。
そして、箱根駅伝は関東の大学の大会です。
高校で駅伝の強豪校いわゆる「都大路の常連校」は全国各地にありますが、
進学先が箱根駅伝シード校にかたまってきました。
各大学にとって、受験シーズン直前の箱根駅伝が大学宣伝の1大決戦の場になっています。
現在の大学の問題点:大学合格者数と入学者数は大きく異なる
毎年、大学試験の合格者が発表されます。
そして、入学式が行われます。
この時、合格者数と入学者数は同じではありません。
国公立大学は、ほぼ定員が合格者で、入学者も同じです。
合格辞退があった時には、補欠合格を順次繰り上げていきます。
足りなくなれば、欠員のまま新年度が始まります。
問題は、私立大学です。
私立大学は、定員よりかなり多い人数を合格者としています。
理由は、入学辞退者が非常に多いからです。
慶應大学は辞退率が少なく、毎年約25%程度です。
関西の私立大学は、多くが約50%程度合格を辞退します。
つまり、入学辞退者数を見越した合格者を必要とします。
これを大学経営の観点から見るとどうでしょうか?
「この大学に入りたい!」と強い気持ちで入ってくる生徒は少ないのです。
その上、大学経営の柱である授業料収入が計算できない状態です。
大学無償化のメリットとデメリット・問題点:まとめ
今回は大学無償化の問題点についてお伝えしました。
この他にも、多くの問題点があると思います。
大学無償化の本来の目的を達成できることを願っています。
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